「社員のモチベーションを引き出すために、1on1でコーチングを実施したい」
「1on1のコーチングについて詳しく知り、チームの空気を変えたい」
「コーチングに必要とされる傾聴スキルなどを知りたい」
この記事はそんな方のための記事です。最近は、風通しの良い組織をつくるべく、1on1ミーティングを取り入れる企業も徐々に増えつつあります。そこでこの記事では1on1ミーティングのコーチング・傾聴などのスキルについて解説していきます。
本記事のポイント
- 1on1ミーティング・コーチングの概要がわかる
- 1on1ミーティングで必要な「傾聴スキル」についてわかる
- 1on1ミーティングを導入している企業の事例を学べる
1on1ミーティングにおいてコーチングは、部下の主体性を高めるためにも有効な方法だといえます。結果、チーム力向上にもつながるでしょう。ぜひ本記事の内容を、自社の1on1・コーチング導入にお役立てください。
もくじ
【確認】1on1ミーティングの目的とは?
1on1ミーティングをおこなう上で重要になるのが「目的」です。「なぜ1on1ミーティングを実施するのか?」を明確にしておくことで、その後の効果にも大きな差がつくといえるでしょう。1on1ミーティング実施の目的としては、以下の3つがあげられます。
- 部下の育成
- 部下から上司に相談しやすくなる
- 従業員エンゲージメントの向上
- 公平で公正な評価
最大の目的ともいえるのが「部下の育成」です。上司に求められるのは、自分だけが成果を上げることではなく、「成果を上げる部下をたくさん育てること」でもあります。部下一人ひとりの能力を底上げすることで、チーム全体のパフォーマンスも高まるのです。
また、部下の能力を引き出せるような1on1ミーティングによって、部下の「従業員エンゲージメント向上」にもつながるでしょう。「この会社にもっと貢献したい」と思う部下が増え、生産性アップにもつながります。
そして、会社として成長するためには部下への「公平で公正な評価」も重要です。上司が部下に対して公平感をもってマネジメントできなければ、部下のモチベーションが下がってしまうことも。
また、1on1ミーティングは「短いスパン」でおこなうため、より公正な人事評価ができるようにもなるでしょう。
ティーチングとコーチングの違いとは?
1on1ミーティングでのコーチングをおこなう際、覚えておきたいのが「ティーチングとの違い」です。コーチングとティーチング、それぞれの意味合いは大きく異なってきます。具体的な違いは以下のとおりです。
ティーチングは「答えを教える指導法」、コーチングは「自分で答えを考えさせる指導法」
ティーチングとコーチングの明確な違いは「答えの出し方」にあります。
- ティーチング → 上司側が「部下に答えを教える」指導法
- コーチング → 上司側が「部下に答えを考えさせる」指導法
これが両者の明確な違いです。
ティーチングは「ティーチ(Teach)」という言葉が元となっており、先生が生徒に対して、必要な情報や技術を一方的に教えるのが特徴です。
これを会社における上司と部下の関係に置き換えると、部下の質問に対して、上司が「ロジカルなアドバイス」をすることで問題解決につなげます。
ティーチングを使って問題解決をするためには、「Why(なぜやるのか)」「What(何をやるのか)」「How(どうやるのか)」が重要です。
一方のコーチングは、「部下自身に答えを考えさせる」指導方法となります。ただ、いきなり「自分で考えろ!」と言っても、部下の成長にはつながりません。コーチングにおける最大のポイントは、「部下自身で答えを導きだすためのサポートをする」こと。
部下の話をしっかりと聞いた上で、質問を投げかけることが重要なのです。
それぞれのメリット・デメリットは?
ティーチングとコーチング、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
ティーチング
メリット
- 部下は知識や技術・ノウハウを体系的に理解しやすい
- 素早く一度にたくさんの部下にアプローチできる
デメリット
- 上司側のスキルや経験に大きく依存する
- 部下が「受け身」になりやすく、主体性が生まれにくい
コーチング
メリット
- 部下自身に答えを考えさせるため、主体性が生まれやすい
- 部下自身が気づいていない潜在能力を引き出せる
デメリット
- 1対1で実施するため大勢に対応できず、時間がかかる
- 上司側のコミュニケーション力に依存する
1on1では「共感」をベースに、部下の主体性を引き出そう
1on1ミーティングでは、部下に対して「正解」を求めません。ただし、まだスキルや経験の浅い部下の場合は、ティーチィングがオススメ。ある程度スキルや経験がある部下に対しては、コーチングのアプローチをするのが良いでしょう。
「部下本人の主体性を高め、チームの成果に結びつけるためには、1on1では何を聞くのが最重要か?」ということを考えながら、ティーチングとコーチングを使い分けることが大切です。
1on1で必要な傾聴スキルとは?
1on1ミーティングをより有意義なものにするためには、「上司の傾聴スキル」が欠かせません。では、具体的にどのような傾聴スキルが問われるのでしょうか。とくに押さえておきたい傾聴スキルは以下の通りです。
- 意識すべきは「共感」
- 一旦「自分の立場」を離れる
- 部下に対する「好奇心」を全開にする
意識すべきは「共感」
1on1ミーティングでの傾聴スキルで意識したいのが「共感」です。ここでいう共感とは、「もし自分が相手の立場だったらどう感じるか?何を考えるか?」を考えること。
部下からの悩みや提案に対して、つい「正しいか、正しくないか」「賛成か、反対か」という判断をしたくなりますが、ここはグッとこらえることが大切です。
たしかに、上司本人がアドバイスを与えることも大切ですが、その前に相手の話をしっかりと受け入れて、「共感」することを意識しましょう。
一旦「自分の立場」を離れる
1on1ミーティングは「上司」が「部下」に対して実施するため、上司は「上司としての立場」を守りながら面談をしたくなるのが普通でしょう。
しかし、傾聴スキルを発揮するためには、このような「上司としての立場」が邪魔になるのです。上司が自分の立場から離れないかぎり、部下も「いつもの上司」として接し、本当に話したかったことを話せないまま終わってしまいます。
部下の緊張をやわらげ、有意義な1on1ミーティングにするためにも、上司は一旦「自分の立場」から離れることを意識しましょう。
部下に対する「好奇心」を全開にする
傾聴スキルを高めるためには、部下に対して「好奇心」を示しましょう。相手を「部下」として見るのではなく「一人の人間」として見つめ、人となりや性格を探求することを意識してみてください。
たとえば、「この人はどんなことを考えているのだろう」「今実施している1on1ミーティングのことをどう思っているのだろう」と想像を張りめぐらせることで、自然と相手の話にも耳を傾けたくなるでしょう。
1on1ミーティングの進め方
ここでは、1on1ミーティングの具体的な進め方を「実施前」「実施中」「実施後」にわけて、ご紹介します。
実施前
まずは「実施前」のポイントから見ていきましょう。
- テーマを決める
- 上司・部下ともに「伝えたい内容」を考えておく
まずは、テーマを決めましょう。テーマとは「1on1で話したい議題」のこと。部下の状態を見ながら「部下が求めているであろうこと」をテーマとして設定しましょう。また、部下にテーマを決めてもらい、部下にミーティングの主導権を握らせるのもオススメです。
あらかじめ「伝えたい内容」を考えておくことも重要です。上司・部下ともに「何でもどうぞ」という姿勢だと、1on1はうまく進みません。ミーティングを有意義な時間にするためにも、お互いに「聞きたいこと」「伝えたいこと」を考えておきましょう。
実施中
続いて「実施中」のポイントです。
- 部下の話をしっかり聞く
- 「とくに話すことがない」と言われたら質問の仕方を変えてみる
1on1ミーティングは「部下のための時間」であるため、上司は部下の思いに寄り添いながら、しっかりと耳を傾けましょう。先ほどお伝えした「傾聴」がここで活きてきます。
また、先読みのしすぎはNG。「こんな問題を抱えているのではないか」と先読みをしすぎて、相手が求めていないアドバイスをしてしまうことも。まずは相手の話をしっかりと受け入れることを意識してみてください。
また、部下に「とくに話すことがありません」と言われることもあります。そういった場合は、「質問の仕方」を変えてみましょう。
1on1で「話すことがない」という部下は、もしかすると「自分の頭で考える習慣がついていない」という可能性も考えられます。そのため、まずはYES or NO で答えられる「閉じられた質問(クローズドクエスチョン)」からスタートするのがオススメ。そこから、徐々に自由に答えてもらう「開かれた質問(オープンクエスチョン)」にシフトしていくのが良いでしょう。
実施後
最後に「実施後」のポイントを見ていきましょう。
- 上司はミーティング内容を振り返る
- PDCAを管理する
1on1ミーティングが終わったら、「部下にとって話しやすい場であったか」「前回と比べて新たな気づきがあったか」1on1全体の振り返りをしましょう。すぐに振り返りをおこなうことで、次回の1on1ミーティングの質も向上しやすくなります。
また、1on1ミーティングの「実施中だけ」を振り返るだけでなく、実施前や実施後の一連の流れを振り返るのがオススメ。そうすることで「PDCA」が明確になります。Plan(時準備)、Do(実施)、Check(振り返り)、Action(改善)を繰り返すことで、次のミーティングにも役立つでしょう。
1on1ミーティング導入企業事例
では続いて、1on1ミーティングを導入している企業の事例を見ていきましょう。ここでは、とくに参考にしたい「2社」をピックアップ。ぜひ自社の1on1ミーティングにもお役立てください。
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、ポータルサイト「Yahoo!JAPAN」をはじめ、広告事業やeコマース事業など、幅広い事業を手がける会社です。同社が1on1ミーティングを導入したのは2012年。「1on1ミーティングの発端企業」としても有名です。
社員7,000人のうち約9割で1on1ミーティングを実施している同社。なかでも、上司の「傾聴力の高さ」は参考にしたいところです。同社では、部下の思いを引き出すことを最優先とするべく、1on1ミーティングを「部下のための時間」と明確に定義づけています。
【ヤフーにおける1on1のポイント】
- 傾聴スキル向上のため、マネージャー陣にコーチング研修を実施
- コミュニケーションは「頻度」が重要だと定義づけ、必ず週1回の1on1ミーティングを実施
- 部下が上司を「点数化」する仕組みをつくり、1on1ミーティングの定着につなげた
組織全体で「部下の思い」を最優先に考えることで、質の高い1on1ミーティングを実践している事例といえるでしょう。
【参照】 ヤフーはなぜ6000人の社員を巻き込む「1on1ミーティング」を続けるのか?
ソフトバンク・テクノロジー株式会社
ソフトバンク・テクノロジー株式会社は、マイクロソフト事業とセキュリティ事業をメインにおこなうソフトバンクの連結子会社です。ミッションは「情報革命で人々を幸せに ~技術の力で、未来をつくる~」。
同社においても、会社における重要な取り組みとして1on1ミーティングを実施。「風通しの良い企業」を実現するためには、メンバーからの意見を細かく吸い上げる必要があると考え、その導入に踏み切ったといいます。
【ソフトバンク・テクノロジーにおける1on1のポイント】
- 月に1回以上、ライン長とメンバーで1on1ミーティングをおこなう
- ライン長は、仕事とプライベート関係なく「メンバーの悩み」を把握する
- 30分間の面談で、メンバーの悩みだけでなく「経営理念の浸透」にもつなげる
部下の仕事への悩みだけでなく、プライベートな悩みにまでフォーカスすることで、風通しの良さを体現している事例といえるでしょう。
上記以外にも、1on1ミーティングを導入している企業は多くあります。
たとえば、
- 株式会社スペースマーケット
- クックパッド株式会社
- 株式会社テモナ
- ロゴスウェア株式会社
- グリー株式会社
などの企業があげられます。具体的な内容については、以下の記事をご参考ください。
【コラム】手段を目的とせず、従業員エンゲージメントを高めよう
これまで、1on1ミーティングとコーチングについて解説してきましたが、ひとつ気を付けたいポイントがあります。それは「1on1やコーチングは手段であり目的ではない」ということ。
「1on1ミーティングを実施すること」あるいは「コーチングをおこなうこと」が目的になると、その時点で満足してしまい、「部下の育成をする」「従業員エンゲージメントを高める」といった、1on1の本来の目的を見失ってしまうかもしれません。
たしかに、1on1ミーティングを有意義にするためにも「コーチング」は大切です。だからといって、「コーチングさえやっておけば1on1もうまくいく」と考えるのはもったいないでしょう。
会社として本当に達成したい「目的」があってはじめて、1on1ミーティングやコーチングといった「手段」を活用できるのです。明確な目的を定めることを前提にコーチングを取り入れ、部下の本当の気持ちを引き出しましょう。
【まとめ】1on1ミーティングについて
本記事では、1on1ミーティングとコーチングについて、以下のポイントを中心にお伝えしてきました。
- 1on1ミーティングでは、実施の目的が最重要
- 1on1ミーティングの目的には「部下育成」「従業員エンゲージメント向上」「公平で公正な評価」があげられる
- ティーチングは「答えを教える指導法」
- コーチングは「自分で答えを考えさせる指導法」
- 1on1では「共感」「自分の立場から一旦離れる」「部下に対して好奇心を示す」といった傾聴スキルが求められる
1on1をより有意義なものにするためには、ミーティングの目的を明確にしつつ、上司が「傾聴スキル」を身につけることが大切です。ぜひ本記事の内容を、自社の1on1ミーティング・コーチング導入の参考にしてみてください。
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